『ヴィクトリア女王の勅撰委員会報告書』(原題: "Report of the Commissioners appointed to inquire into the Regulations Affecting the Sanitary Condition of the Army, the Organization of Military Hospitals, and the Treatment of the Sick and Wounded; with Evidence and Appendix. Presented to both Houses of Parliament by Command of Her Majesty" )★ >> 参考動画(movie by 丸山健夫)
昨年5月に公開し好評をいただいた「こうもりの翼とバラの花」は、フローレンス・ナイチンゲールのキャリアの原点となった、ヴィクトリア女王の勅撰委員会での活動とその報告書が出版された背景に触れました。新たに連載形式で始まるこの続編では、その委員会報告書をさらに詳しく読み解いていきます。
第1回目は、報告書が出された背景を、委員会メンバーとの関係に触れながら明らかにします。緻密な統計的根拠と明晰なプレゼンテーションの工夫が詰め込まれた1,000ページ超の文書を、ナイチンゲールはどうして作成する必要があったのか? 委員会と陸軍や議会との間に存在した人事的な激しい駆け引きを知ることでその理由が見えてきます。
そして第2回目からは、有名な2つの円グラフ「Bat's Wing」「Rose」など、独創的なの表現手法を用いた人口密度比較図におけるデータ・ビジュアライゼーションに焦点を当て、その統計学的・デザイン的価値について詳細に解説していく予定です。
丸山 健夫 まるやま・たけお
武庫川女子大学情報教育研究センター長・生活環境学部情報メディア学科教授。京都大学農学部卒業。京都大学博士(農学)。米国ルイジアナ州立大学客員准教授、武庫川女子大学文学部教授などを経て現職。専門は情報学(統計学・メディア表現・科学史)。著書に『ナイチンゲールは統計学者だった!─ 統計の人物と歴史の物語』(日科技連出版社)『筆算をひろめた男─幕末明治の算数物語』(臨川書店)『「風が吹けば桶屋が儲かる」のは0.8%!?─身近なケースで学ぶ確率・統計』(PHP研究所)『ペリーとヘボンと横浜開港―情報学から見た幕末』(臨川書店)など。
著者サイト http://yy.org