漫画家でもあり、小説家でもあり、画家でもある小林エリカ。多様な表現を横断する彼女の小説は、少女らしいかわいらしさの一方で、裏腹な女としての決意や覚悟が同居しています。
『彼女は鏡の中を覗きこむ』
小林エリカ 著
集英社/2017年/1430円
過去、現在、未来と錯綜する不思議な世界観の4つの短編集。語り手の女性たちは、戦争や原爆や原発事故やらに翻弄されながらも、自分の欲望は貫き通し、奪われたものを取り戻そうとし、生/性に執着する。身体の奥深くの見えないところに〈放射線をあてると光を放つ〉宝石を有し、しなやかに、したたかに生きていく女たちの物語。
yoshitaka_haba:1年半にわたって選りすぐりの20冊をご紹介してきた連載も今回で最終回。幅さんのinstagramには、さらにたくさんの小さなブックレビューや、さまざまな「おしごと」がアップされていますのでぜひご一読を。“──ここでもあなたが好い匂いのする本と、うまく出会えますように。”(幅允孝著『幅書店の88冊〜あとは血となれ、肉となれ。』「はじめに」より)
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