Nursing Todayブックレット15

認知症高齢者とセクハラ

特 別 ア ン ケ ー ト

認知症高齢から

聞かせてください。

「セクハラについて

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●組織・チーム内での情報共有と対応

 

「超高齢社会である日本では認知症高齢者は少なくない。このような社会背景がある中で、性的逸脱行為を受けた場合、どのように対応することが望ましいのか、組織としてどのような体制整備が必要なのかを考えていかなくてはならないと思う」

 

「本人や家族には、スタッフ個人で対応するのではなく、組織全体で対応するほうがよい」

 

「認知症の方に正論を言ってもわからないこともあるため、対応は難しい。一人での対応ではなく、チームでの対応が必要である」

 

「男性スタッフがいれば交代する。男性がいない場合はケア時に二人で対応するようにする。行為を叱ることはしないが、嫌な気持ちであることを伝える。人それぞれによって対応の仕方を考慮しなければならない」

 

「行動が緩慢な方だと万一のときに逃げることもできるが、力が強かったり独居である場合は、同性が訪問するなどの対応が必要だと思う」

 

「若いスタッフから相談されることがあるが、本人がトラウマになっているケースもあった。経験ある看護師が一緒に対応するようにしているが、夜勤等の人数が少ないときは2人体制で対応している。逸脱行為の程度によっては患者の強制退院もあり得る」

 

「訪問看護は1人でプライベート空間に訪問するため、認知機能低下がある利用者の中には勘違いをしてしまう方が多い。複数名での訪問や男性スタッフに変えるなどの対応は可能だが、病気ゆえの行為と理解はできても、セクハラを受けた看護師のトラウマへの対応は難しいと感じる」

 

「性的逸脱行為はその人らしさと思うようにしている。そのときの応対をスタッフで統一できればよいのではないか」

 

「職員の経験値や年代は様々なので、職員と充分に情報共有することが必要だと思う。また、家族を含めてのケアも考えていく必要がある」

 

「その場で注意することは必要だが、本人は忘れてしまうので繰り返し起こることは避けられない。対応方法を職場で共有し、対策を立てる必要がある」

 

「性的逸脱行為を受けたときは、毅然とした態度で、穏やかに注意する。それが通じなければ、職場で相談することが必至。担当ケアマネにも報告し、然るべき処置や方向を取る必要性があると思う」

 

「管理者として、性的逸脱行為を行う本人の真意と、我々へのリスクについて見極める力をつけることも必要と考えている」

 

●どう対応したらいいのか……

 

「病気だから仕方がないのはわかるが、仕事をしていてどう対応すべきか悩む。男性から女性職員に対しての行為であることが多い。毎回なんとかやり過ごしているが、正しい対処法を教えていただきたい。また、一般の方にも理解を深めていただきたい」

 

「対応が難しく、悩んでいるスタッフも多い。様々な対応方法について教えてほしい」

 

「本人の家族のつらい思いを知ると、怒ることはできない。対応方法を知りたい」

 

「認知機能低下により性欲が強くなるのか、わからない。常にどのような対応がよいか悩んでいる」

 

「セクシュアリティというそもそもデリケートで個別性が高い事柄であり、またその人自身の尊厳に関わる部分であるが、同時にケア提供者へのハラスメントにもつながるものであるため、どう対応するべきか大変難しいと感じている」

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Nursing Todayブックレット15

認知症高齢者とセクハラ

A5/64ページ 2022年07月発行

ISBN 978-4-8180-2528-8

定価990円(本体900円+税10%)

<目次>

  • 認知症高齢者の性的行動──荒木乳根子
  • 介護現場におけるハラスメントの実態と防止について──村上久美子
  • 認知症高齢者の性的逸脱行為への対応──堀内園子
  • 認知症高齢者のセクシュアリティに関する倫理的配慮──戸谷幸佳
  • 事例から考える 認知症高齢者の性的逸脱行為への対応──岡田まり、横井真弓、塙真美子、田中聡子
  • column:利用者からのセクハラに一人で悩まない──北條正崇

教養と看護 編集部のページ日本看護協会出版会

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