指定インフォメーション・エクスチェンジ3保健医療福祉施設における災害への備え~食の備蓄~主催:日本看護管理学会 災害に関する管理推進委員長=原玲子(宮城大学看護学群)、委員=上野栄一、佐藤美子、庄野泰乃、杉浦美佐子、竹中愛子、保科英子、前田ひとみ、松尾 文美、竹内貴子話題提①:庄野泰乃(徳島赤十字副院長兼看護部長)「医療施設における水の備蓄―ウォーターサーバーの利用―」話題提供②:石母田由美子(仙台赤門短期大学看護学科講師)「施設のどこに備蓄するか、何を備蓄するか―東日本大震災の経験から―」話題提供③:石川伸一(宮城大学食産業学群教授)「もしもに備える食とココロ」

 

起こり得る大規模災害に備え、看護管理者は自施設における食の備蓄を整備する必要がある。東日本大震災を経験した研究者・管理者、南海トラフに備える管理者からの3つの話題提供を通じ、貴重な情報の共有が行われた。

 

①「南海トラフ」に対応した「水の備蓄」

405床をもち、1,133名の職員が働く病院の副院長である庄野氏は、南海トラフに備えた水の備蓄にウォーターサーバーを活用している。停電時も常温でき、利便性に優れ、衛生的。災害対策の実際例として職員の意識向上にもつながっていると紹介した。

 

② 面接調査から明らかになった備蓄の課題

勤務していた病院が津波で大きな被害を受けた石母田氏は、ご自身の経験と災害拠点病院師長12名の面接調査から、「分散備蓄(栄養課、各階で)」「運搬・配膳法の想定」「対象に合う食事形態での備蓄」などの課題が抽出されたことを報告し、発災時の備えについて具体的に説明した。

 

③ 備蓄食という考え方

食品学・栄養学が専門の石川氏は、大震災時の経験とその後の調査などから「災害に備える心構え」について講演した。長期保存が可能な食品を「常備」して、日々活用しながら非常時にも役立てる「常備蓄」という発想などを紹介。人はライフラインが絶たれると“原始生活”に直面し、不便さよりも日常との落差で苦しむため、モノだけでなく心の準備も必要。平時にあえて不便さを体験し、“ワクチン”効果を得ることも大切という指摘が印象に残った。

 

 

フロアからは「訪問看護の備蓄」に関する質問なども出されたが、看護のさまざまな場の特性に沿った「備蓄」を行うことや職員への意識づけの重要が示唆された演題であった。

 

 

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