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日本学術会議 健康・生活科学委員会 看護学分科会

 「地元創成の実現に向けた看護学と社会との協働の推進

[コラム]

「地元創成看護学」にはどのような実践があるか

西村 ユミ(東京都立大学 健康福祉学部 看護学科 教授 / 日本学術会議 第二部会員)

提言を作成する過程では、新たな概念である「地元創成看護学」を定義し、実現するための基礎資料を得るために、実践例のインタビュー調査を行いました。もちろん、調査前から、「○○大学では、・・・」という例を挙げながら、提言の必要性を議論してきたのですが、設置主体や地元の範囲、関係の持ち方によっても、地元創成看護の実現のための条件が違っているかもしれません。そのため、多様な大学の取り組みを詳しく把握することになりました。

 

対象とする実践例については、委員が把握している活動に留まらず、ホームページ等を用いて国立、公立、私立大学を広く調べ、班会議にて議論して、調査担当者と共に決定しました。実際には、提言で報告をしている6大学に協力を得て、2019年度10月~2020年1月に調査を行っております。調査では、実際に大学を訪問し、事業に携わっている方等にインタビューを行いました。私は、山形県立保健医療大学に伺い、「山形発・地元ナース養成プログラムの再構築」という事業を調査しましたが、事業展開をしている先生方のお話や地元ナースがプログラムへ参加をしている現場から、多くのヒントを頂けたと思っています。

 

インタビューの調査項目に関しては、多くの議論を重ねました。その際、参考にしたのは、公立大学協会が大学の活動として提示していた視点“LEAD”〈Link:地域の価値を繋げる、Enhance 地域の財産を発展させる、Assure 地域のいのち(とくらし:当班加筆)を守る、Develop:地域の可能性を開発する〉です。これらを含む以下6項目のインタビューフレームワークを作り、上述した調査を行いました。

 

提言を発出してから振り返ると、このフレームワークは、とても重要な情報を与えてくれました。第25期の活動でも、引き続き活用しております。

 

〈調査項目〉

  1. 地域のニーズは何か(活動は何のニーズに基づいているか)
  2. 大学機関としてのコミットメント(学長・部長・部門)と財政的支援
  3. コミュニティとの連携(巻き込み)の仕方
  4. どのような戦略・方法を立てているか
  5. プロセスはどのようであったか
  6. 成果、大学としての評価はどうか

提言:「地元創成」の実現に向けた看護学と社会との協働の推進(PDF)

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