「まなざしを綴じる

 ―─ ZINEという表現のかたち

文と写真 藤田 理代

新 連 載

考えること、学ぶこと。

>>「掌の記憶」より

はじめに

 

病がもたらす喪失。それによって本人とまわりの人たちの間には、大なり小なりさまざまな隔たりが生まれます。筆者の人生を振り返っても、家族の介護や闘病を見つめる中で、また自分自身も若くしてがんを患う中で、さまざまな「喪失」と「隔たり」を感じてきました。

 

それぞれが内側で抱えている痛みや苦しみ、かなしみ。その個人的でかたちのないものや、人との隔たりをなくすことは難しくとも、時間をかけて自分のまなざしで捉えながらかたちにして、静かに見つめ直したり共有したりできる方法はないだろうか? そんな思いを巡らせる中で辿り着いたのが「本に綴じる」ということ。

 

そして、本やさまざまなメディア制作の現場を巡りながら「伝える術」を学ぶ中で出会ったのが、アメリカで生まれ、日本でも広がりつつある「ZINE(ジン)」という小冊子でした。

 

第1回では、まずZINEについての概要を、第2回ではZINEづくりを通して自分を見つめなおす事例を、第3回では「取材」という行為を通して、他者を見つめながらZINEを綴じる事例を紹介します。そして第4回では、ZINEづくりのワークショップや展示での出会い、その経験から感じているZINEという表現の可能性ついてご紹介します。

 

 

 >> 第1回:ZINEという表現のかたち

 >> 第2回:自分をまなざすZINE

 >> 第3回:他者をまなざすZINE

 >> 第4回:隔たりの間で交わすもの

 >> 第5回:ZINEのつくりかた

 

藤田 理代 ふじた みちよZINE(ジン)作家。祖父の介護をきっかけに社会福祉学を学び、病が原因となって断ち切られてしまった人の記憶や関係を「本」というメディアをつかってつなぎなおすことはできないかと考えるようになる。本やWebメディアの制作現場を巡る中、2014年に絨毛がんを患い闘病を経験。寛解後は“記憶”をテーマにZINE制作をはじめ、取材、撮影、執筆、編集、製本まで自らの手でおこなっている。2015年から「掌の記憶」という小さな本を綴じながら、日本のまちを巡っている。http://michi-siruve.com/




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>> マギーズ東京チャリティ・イベント「生きるを考えよう、語ろう」に参加しました。

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