哲学入門を志す人のための読書案内 ⑤
優れた哲学書は、自分自身で考えるための良き伴侶となることでしょう。ここでは、自分自身で考え始めたいと思っている方のために、良き哲学書をご紹介します。
本を読むということは、思考することと同じです。それは、本を読むことによって、独自の解釈を創造することだと言えるでしょう。ですから、「読書こそが、自分でものを考える力を養っていく」と言えるのです。
『世界の散文』
(モーリス・メルロ=ポンティ/みすず書房)
前回紹介した『見えるものと見えざるもの』と同様、メルロ=ポンティの死後に刊行された遺稿です。この本では、スタイルについての記述が多くみられるので、メルロ=ポンティの考えるスタイルについて知りたい方にはお勧めの一冊であると言えるでしょう。また、この本には「首尾一貫した変形」という概念も出てきます。
『シーニュ1』
(モーリス・メルロ=ポンティ/みすず書房)
スタイルや創造的表現についての記述が見られる「間接的言語と沈黙の声」を収録した論文集です。メルロ=ポンティがレヴィ=ストロースに言及した「モースからクロード・レヴィ=ストロースへ」も収録されています。他にも「言語の現象学について」や「どこにもありどこにもない」など重要な論文が収められた一冊です。