哲学入門を志す人のための読書案内 ③
優れた哲学書は、自分自身で考えるための良き伴侶となることでしょう。ここでは、自分自身で考え始めたいと思っている方のために、良き哲学書をご紹介します。
本を読むということは、思考することと同じです。それは、本を読むことによって、独自の解釈を創造することだと言えるでしょう。ですから、「読書こそが、自分でものを考える力を養っていく」と言えるのです。
『意味と無意味』(モーリス・メルロ=ポンティ/みすず書房)
今回、本文で引用した文章は、この著作に収録されている論文「セザンヌの疑惑」から引用しました。本書には「セザンヌの疑惑」以外にも、重要な論文が収められていますが、特に「序文」が重要です。メルロ=ポンティは「セザンヌの疑惑」で創造的表現について書いていましたが、「序文」では「理性の新たな観念を作る必要がある」(p.7/p.1)と宣言しているように、この著作自体がメルロ=ポンティによる創造的表現の産物ということもできるでしょう。なお、第1回で紹介した『メルロ=ポンティ・コレクション』にも、「セザンヌの疑惑」は収録されています。