愛は忍耐……。
『愛するということ』
エーリッヒ・フロム 著、鈴木晶 訳/紀伊國屋書店
ドイツの哲学者・心理学者、フロムによる「愛する」ための指南書。もちろん恋人・夫婦関係を考える際にも役立ちますが、自分の足で立ってこの世界を生きるとはどういうことか、ということまで学べる本です。素晴らしい愛、人生のためには思った以上に忍耐が必要なようです……。
6
誰の人生にも流れる濃密な時間
『街の人生』
岸 政彦 著/勁草書房
ゲイやホームレスなどのマイノリティと言われる人たちの語り。解説などは最小限に抑えられ、当事者たちの声をその場で聞いているような臨場感のある本です。まったくの他人にも、自分と同じかそれ以上に長く濃密な人生の時間が流れている……。それを知ると、生きていく上での強力な味方を得たような、大きな安らぎを覚えます。そして読んだあとに世界の見え方が少し変わります。同じ著者の『断片的なものの社会学』もおすすめ。
7
個人の自由とはなんだろう?
『自由はどこまで可能か リバタリアニズム入門』
森村 進 著/講談社
もし、すべてを個々の自由に任せると、世界は大混乱に陥りそうな気がします。だとすると、私たちの今の状態はどれくらい「自由」なのでしょうか? 知らぬ間に自分たちが「自由ではない」状態に甘んじているとしたら? 私たちが国家によって縛りつけられているのだとしたら? 一歩先を行く自由の思想を学ぶことで、新しい価値観の一つを知ることができます。
8
それでも、私たちは「戦争」を選ぶのか
『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』
加藤陽子 著/朝日出版社
安保法制、デモ、憲法、戦争といった言葉をよく耳にする昨今ですが、かつて戦争をした日本は、どのような決断を重ねてそこへ至ったのでしょうか。当時の日本人だって、現代の私たちと同じように戦争を望んではいなかったはずなのに……。戦争に至った歴史をていねいに読み解く過程を見ることで、過去の事例というものが、現在の我々が下す判断の大きなヒントになることを教えてくれます。
9
いのちの倫理は単純ではない
『いのちを “つくって”も いいですか?』
島薗 進 著/NHK出版
誰もが願う「より健康に、より長く生きたい」という希望。最新のバイオテクノロジーに根ざす現代医療は、その願いを着実に実現しつつあります。しかし、ただ望むままに進んで行くならば、私たちはやがて「いのちをつくり変える」領域に踏み込んでしまうのではないか──生命科学と深く結びついた現代、そして未来を生きるための、新しい“いのちの倫理”のあり方を考えるために。(書籍情報より)
10
哲学しつづけた一つの人生
『闇屋になりそこねた哲学者』
木田 元 著/筑摩書房
満洲での少年時代。江田島の海軍兵学校で原爆投下を目撃した日。焼け跡の東京でテキ屋の手先だった頃。そして著述と翻訳に没頭した時代……。昭和20年夏、焼きつくされた街に放り出された海軍兵学校帰りの17歳の少年は、なぜハイデガーの『存在と時間』に魅かれるようになったのでしょうか。高名な哲学者が人々との出会いと読書体験を軸に、波乱に富んだ人生を縦横に語ります。(書籍情報より)
11
「痛み」を通した人間の洞察
『ひとりで苦しまないための「痛みの哲学」』
熊谷晋一郎 他 著/青土社
きわめて個人的体験でありながら、人間の社会的な共同性のただなかにある痛み。医師であると同時に自ら脳性まひの障害の当事者として「痛み」の思想的意義を考察してきた熊谷氏が、大澤真幸氏・上野千鶴子氏・鷲田清一氏・信田さよ子氏といった各分野を代表する第一人者とともに、「記憶」「快楽」「言葉」「ケア」というテーマについて語り合います。(書籍情報より)
12
高校の教科書で読んだ人もふたたび
『じぶん・この不思議な存在』
鷲田清一 著/講談社
「身体をもたない〈わたし〉がありえないことはあまりに明白であるのに、それでは〈わたし〉と身体とはどのような関係にあるのかと問うてみると、じぶんがほとんどなんの確かな答えももっていないことに気付かされる──」わたしってだれ? じぶんってなに? じぶん固有のものをじぶんの内に求めることを疑い、他者との関係のなかにじぶんの姿を探ります。(書籍情報より)
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取材・撮影協力:ジュンク堂書店池袋本店(東京都豊島区南池袋2-15-5)店舗情報
ジュンク堂池袋本店人文担当Twitter @junkuike_jinbun
お店からのメッセージ:新生活を始める方も多い季節になり、ジュンク堂書店池袋本店でも『人文書入門フェア』など、「考える作法」を学ぶにはぴったりのコーナーをつくっております!ぜひお立ち寄りくださいませ。
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