連 載
考えること、学ぶこと。
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第2回 藤本 啓子 profile
「あなたの生は、
大切な人とともにある」
もしも、あなたが意識を失い、自分の意思を伝えることができなくなったら、あなたは、だれに、どのようなことを伝えたいですか?
私は現在、ホスピス(緩和ケア)病棟で電話相談をしています。これまで治療を続けてきた方が、ある日突然、主治医に「抗がん剤の効果がなくなってきましたね。そろそろホスピスのことを考えてはいかがですか」と告げられ、頭の中が真っ白の状態で、入院手続きのために電話をかけてこられます。
こうした人々の多くは「ホスピスは死に場所だ」と思っていらっしゃいます。私はそれに対し「ホスピスとは生きる場所なのです」と伝えることから始めて、今その方が置かれている状況を一つひとつ整理をしていただくためにお話をし、面談の予約を取っていただきます。
一方、プライベートでは「患者のウェルリビングを考える会」の代表として、生・老・病・死について一般の方と対話をしています。また、高校では「臨床哲学」という授業を行っており、対話を通して人の話をよく聴き、相手をよく見て、自分で考え、自身の言葉で話すことの大切さを生徒たちに伝えています。
皆さんは「リビングウイル」という言葉をどれくらい知っていますか? ご高齢の方とお話すると、皆さん「エンディングノート」のことはご存知ですが、「リビングウイル」を知る方は1割もいらっしゃいません。
会の名称にある「ウェルリビング」は「よく生きる」ということです。ここでは、「よく生きる」とはどのようなことなのか、そして「リビングウイル」とは何なのか、そして「哲学する」とはどのようなことなのかを考えていきたいと思います。
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連載のはじめに・バックナンバー
藤本 啓子 ふじもと・けいこ
患者のウェルリビングを考える会・代表。神戸大学大学院博士課程(哲学)単位取得退学。専門は哲学・倫理学。兵庫県立須磨友が丘高校(臨床哲学)非常勤講師、東神戸病院緩和ケア病棟ホスピス電話相談担当(非常勤)、ボランティア活動として、自死遺族「わかちあいの会・風舎」のスタッフを勤める。
『いのちをつなぐ ファミリー・リビングウィル』(藤本啓子 著・木星舎・2016年)
「──もしあなたが、今から先のifに備え、自分の人生に納得し、よりとい生を全うしよう、そして、それを家族と親しい人に理解してもらおうと思うのであれば、ファミリー・リビングウィルを書いておきましょう」