case A

性別:男性

年齢:50 代

疾患:大脳皮質基底核変性症

case Aのチャートを見る

疾患について

緩徐に進行する神経変性疾患。脳萎縮が始まる部位によって出現する症状が異なる。失語や手指がうまく使えないといった拙劣症で発症することが多い病気。

 

事例の概要

・若年発症で大脳基底核変性症という特殊な認知症疾患に加え、身体疾患として潰瘍性大腸炎の治療もあった。そのため日常生活上の注意点なども多く、介護は大変な状況であった。

・初期に家族と本人が社会的に孤立し、介護を抱え込む状況からの認知症ケアであったため、家族介護者の精神的負担が大きかった。

・専門職のケアに対する本人の介護抵抗が強く、そのぶん家族への負担が増していたことから、専門職に対する家族の不信感が常にあった。

・終末期の治療の方針(胃瘻)の意思決定をしなければならなかった。

 

生活背景など

北陸地方の出身で4人兄弟の3番目。小学校の時に両親が離婚した。父の仕事の都合で九州を中心に全国を転々とした。20歳頃から大阪で暮らしており30代後半で結婚。子どもはなく、兄弟や親戚と疎遠である。50代後半より妻の兄弟宅に夫婦で同居していた。職業は、高校卒業から30歳まで人形店のほか車両関係の仕事、タクシー会社、製薬関連の仕事など転々とした。その後40代前半まで外資系の仕事に就く。40代後半から50代後半まで契約社員として労務局でキャリアカウンセリングを担当していた。性格は頑固と言われ、趣味は絵画鑑賞、旅行、ゴルフ。英語も堪能である。飲酒歴はない。

 

チームで共有すべき大切なポイント

・社会的に孤立している家族への介入方法

・身体疾患を合併した認知症ケア

・家族支援

・多職種連携のためのタイムリーな情報共有

・認知症者の終末期医療の意思決定

ケースの概要 ▶  時系列チャート

日本看護協会出版会