用語2:プラグマティズム

 

実用主義や実際主義とも訳される「プラグマティズム」は、普通、20世紀初頭にアメリカで流行した思想の潮流を指します。この思想を簡潔に言うならば、ある知識が真であるかどうかは、日常生活上の実践において実用的であるかどうか──つまり、利益があるかないか──で決定されるとする考え方であるといえるでしょう。

 

しかし、本文で書いた「身体に根拠を置いたある種のプラグマティズム」は、こうしたプラグマティズムのことを指示しているわけではありません。敢えて言うならば、ある知は自分自身の身体においてのみ実用性──つまり利益──がある限り、「この私」にとって真正であるとする考え方だと言えるでしょう。

 

もちろん、この実用性とは、上の用語解説で取り上げた「身体における実用性」のことです。そして、「この私」にとってのみ真正である知とは、言い換えるならば、情報化される知識ではなく「この私」の身体の「できる」によって価値づけられた仕方で理解された「この私」だけの知であるということができるでしょう。