JBI ── Evidence Summary
〈在宅看護〉
在宅での尿道留置カテーテルの管理における最良のエビデンスは?
Indwelling Urethral Catheter: Management (Community Setting)
Sandeep Moola BDS MHSM (Hons) MPhil
27 January 2016
『JBI:推奨すべき看護実践』p.45
◉ 臨床上重要な事実
尿道留置カテーテル法(IUC)は、特に指示があるまではカテーテルを留置することを目的として、尿道を介して膀胱内にカテーテルを挿入することである。1 IUCは、膀胱機能障害の症状を管理するための選択肢の一つである。その他には間欠的カテーテル法や恥骨上カテーテル法がある。1 (Level 1)
- IUCは可能な限り避け、合併症を綿密にモニタリングし、頻回に再評価を行い、指示後速やかに中止する。1 (Level 1), 2 (Level 1), 3 (Level 2)
- IUCは生活の質を低下させ、罹患率と死亡率を増加させるリスクを伴う侵襲的手技である。1 (Level 1), 2 (Level 1), 4 (Level 4)
- IUCに関する最も一般的な臨床的リスクは、カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)であり、そのリスクは留置時間の経過とともに増加する。1 (Level 1), 2 (Level 1), 4 (Level 4)
- 患者中心アプローチをIUCに取り入れ、個別性のあるケアプランを計画し、実施する。1 (Level 1), 2 (Level 4)
- 患者の記録を見て、リグノカイン/リドカイン、クロルヘキシジン、ラテックスに対するアレルギーなど、IUCに関する過去の問題をチェックする。1 (Level 1), 2 (Level 1)
- 臨床医は、カテーテル管理に関するトレーニングを受け、十分な能力を持っている必要がある。1 (Level 1), 2 (Level 1)
- IUCは無菌手技を用いて正しい手指衛生を守って実施する必要がある。15 (Level 1), 1 (Level 1)
- IUCの手順とそれに伴うリスクについて、患者や介護者に説明し、同意を得なければならない。1 (Level 1), 3 (Level 2)
- 外傷およびカテーテル関連尿路感染症(CAUTI)のリスクを最小限に抑えるために、IUCを効果的に固定して安定させる必要がある。1 (Level 1)
- IUCの固定位置と継続的な管理に関する記録によって、治療の成果と継続性が向上する。継続的な再評価を報告するため、カテーテル法の理論的根拠を記録に含めるべきである。1 (Level 1), 2 (Level 1)
- 中止の指示を実行し、指示の再評価を日々促すことによって、急性期でのカテーテル留置日数が短縮できるというエビデンスがある。1 (Level 1), 2 (Level 1), 3 (Level 2), 5 (Level 2)
- 急性期の脳卒中患者を対象に実施された研究では、標準化された評価ツールがカテーテル挿入基準を設定およびモニタリングするのに有効であったことがわかった。5 (Level 3)
- IUCの準備の中で、消毒を目的とした膀胱洗浄は必要ない。滅菌生理食塩水または石けんと水が適している。継続的な日々の衛生管理としては石けんと水で適切に維持できる。1 (Level 1), 2 (Level 1), 3 (Level 4)
- 定期的にIUCを交換することに対する強固なエビデンスがある。臨床において指示された際や製造元の推奨に従ってIUCを交換する必要がある。1 (Level 1), 2 (Level 1)
- 長期間のIUCを交換する際、定期処方として予防抗菌薬を提供してはいけない。ただし、カテーテル交換後にCAUTIの既往がある患者やカテーテル挿入中に外傷を経験した患者に対しては考慮する。2 (Level 1), 1 (Level1), 4 (Level 4)
- 閉塞、石灰化、CAUTIのリスクを最小限に抑えるため、最低3回分のカテーテル交換にわたるカテーテルの使用期限および閉塞を記録しておくこと、そしてその時間(使用期限)がくる前にその後の交換をする計画を立てる必要がある。1 (Level 1), 2(Level 1)。使用するIUCの種類とゲージ数は、対象者の個々の特性のアセスメントに基づいている必要がある。1 (Level 1), 2 (Level 1), 6 (Level 1)
- 長期的なIUCにより頻回に閉塞している対象者は、どのカテーテルの素材よりもシリコンカテーテル(100%)を使用することで恩恵を受ける(メリットがある)可能性があるという証拠がいくつかある。1 (Level 1)
- ラテックスカテーテルの使用は14日以内に制限すべきである。1 (Level 1)
- 膀胱頸部および尿道の外傷を最小限に抑えるために、臨床的に特に指示がない限り、最小経のカテーテルを使用することが推奨される。2 (Level 1)
- 通常のIUCには、先端がストレートタイプのカテーテルを使用する必要がある。1 (Level 1)
- 高身長、寝たきり、動けない、臨床肥満にある女性に対して男性用標準長のカテーテルといった長いカテーテルを使用することで外傷を避けることができる。女性用のカテーテルは男性には決して使用してはいけない。1 (Level 1)
- 排液バッグは膀胱の高さより下に位置するべきである。1 (Level 1)
- 排液バッグは膀胱の高さより下で保持し、床に触れないようにする。地域においてナイトバッグスタンドが利用できない場合は、床に触れないことが安全にできるかどうかその場で検討する。1 (Level 1)
- 男性の場合、長期間のカテーテル圧によって起こる尿道—陰嚢結合部の壊死を防ぐために、IUCの固定を腹部にすることを検討する。カテーテルを大腿部で緩やかにカーブを描きながら配置する必要があるが、自分で服の着脱ができる対象者にとっては実用的ではないかもしれない。女性の場合のIUCの固定は大腿部であるべきである。1 (Level 1)
- 尿道カテーテルを挿入するときは、潤滑ゼリー/麻酔潤滑剤の滅菌済使い捨てパッケージのものを使用する必要がある。1 (Level 1), 2 (Level 1)
- CAUTIのリスクを下げるため、閉鎖式ドレナージシステムを継続する必要がある。閉鎖式ドレナージシステムの不要な開放は避けなければならないが、もし開放された場合は無菌手技と滅菌物品を用いてカテーテルと収集システム(排液バッグなど)全体を交換する必要がある。1, 2 (Level 1)
- 尿検査を行う場合は、消毒剤でニードルレスサンプリングポートを消毒した後に、滅菌済シリンジ/カニューレアダプタを用いてポートから尿を吸引する。特殊な検査のため大量に量を採取する場合(培養を除く)は、無菌操作的に排液バッグから採取するべきである。1 (Level 1)
- カテーテル弁を使用している際は、閉塞を避けるため2~4時間に1回の(尿の)廃棄が推奨される。1 (Level 1)
- クランベリー製品は、IUCを行っている患者に対するCAUTI予防には効果的ではない。実際にワーファリンの生物学的利用能を高める可能性があるだけでなく、多発性硬化症の患者に潜在的悪影響をもたらす可能性がある。1 (Level 1), 2 (Level 1)
- 閉塞したカテーテルの70%以上が石灰化であり、そのうち60%以上が膀胱結石に関連しているというエビデンスがある。定期的にカテーテル閉塞がある患者には膀胱結石の可能性について調査すべきである。1 (Level 1)
- 定期的な膀胱洗浄/カテーテルメンテナンス溶剤の使用は予防目的では推奨されない。1 (Level 1), 2 (Level 1)
- 前向き研究において、利用者の主観的認識によってIUCの管理上の主要な問題が複数確認された。カテーテルの交換、継続したケア、そして衛生レベルに誰が責任を持っているかを知る必要性はコミュニティーサービスの満足度に影響を与える重要な問題であった。7 (Level 3)
◉ エビデンスの特性
このエビデンスの要約は、構造化された文献検索および厳選された科学的根拠に基づくヘルスケアデータベースを基盤としている。要約に含まれるエビデンスは以下のものである。
- 4つのエビデンスに基づくガイドライン1,2,3,4
- 14件の試験のシステマティックレビュー5
- 5つのランダム化比較試験のシステマティックレビュー6
- 尿道カテーテルを挿入して生活している36人を対象とした前向き質的研究7
◉ References
- Geng V, Cobussen-Boekhorst H, Farrell J, Gea-Sánchez M, Pearce I, Schwennesen T, Vahr S, Vandewinkel C. Catheterization. indwelling catheters in adults. Arnhem, The Netherlands: European Association of Urology Nurses 2012:112. (Level 1)
- Centre NCG. Infection. In: Excellence NIfHaC, ed. Prevention and control of healthcare-associated infections in primary and community care: partial update of NICE Clinical Guideline 2 (CG139). First published 2003 ed. London: National Clinical Guideline Centre (UK) 2012:240. (Level 1)
- Bernard MS, Hunter KF, Moore KN. A Review of Strategies to Decrease the Duration of Indwelling Urethral Catheters and Potentially Reduce the Incidence of Catheter- Associated Urinary Tract Infections. Urol Nurs. 2012;32(1):29-37. (Level 2)
- Nazarko L. Should antibiotics be prescribed when urinary catheters are removed? Br J Community Nurs. 2011;16(8):374-80. (Level 3)
- Cowey E, Smith LN, Booth J, Weir CJ. Urinary catheterization in acute stroke: clinical realities. A mixed methods study. Clin Rehab. 2011;26(5):470-9. (Level 1)
- Jahn P, Preuss M, Kernig A, Langer G, Seifert-Huehmer A. Types of indwelling urinary catheters for long-term bladder drainage in adults. Cochrane Database Syst Rev. 2012;10. (Level 1)
- Chapple A, Prinjha S, Mangnall J. Changing a urethral or suprapubic catheter: the patient's perspective. Br J Community Nurs. 2013 Dec;18(12):591-6. (Level 3)
The author declares no conflicts of interest in accordance with International Committee of Medical Journal Editors (ICMJE) standards. How to cite: Sandeep Moola BDS MHSM (Hons) MPhil. Evidence Summary. Indwelling Urethral Catheter: Management (Community Setting). The Joanna Briggs Institute EBP Database, JBI@Ovid. 2016; JBI14458. For details on the method for development see Munn Z, Lockwood C, Moola S. The development and use of evidence summaries for point of care information systems: A streamlined rapid review approach. Worldviews Evid Based Nurs. 2015;12(3):131-8. Note: The information contained in this Evidence Summary must only be used by people who have the appropriate expertise in the field to which the information relates. The applicability of any information must be established before relying on it. While care has been taken to ensure that this Evidence Summary summarizes available research and expert consensus, any loss, damage, cost or expense or liability suffered or incurred as a result of reliance on this information (whether arising in contract, negligence, or otherwise) is, to the extent permitted by law, excluded. Copyright © 2016 The Joanna Briggs Institute licensed for use by the corporate member during the term of membership.
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