経営と看護

 

●監修 福井 トシ子

国際医療福祉大学大学院副大学院長/教授

●企画協力

鳥海 和輝

『Gem Med』編集主幹

小野田 舞

一般社団法人看護系学会等社会保険連合 事務局長

 

診療報酬等に関連する用語の理解や管理指標の持つ意味、病院機能ごとの経営の考え方について解説するとともに、事例を通じて、看護管理者が病院経営に貢献するためのヒントを探ります。

*Vol.1〜4(予定)は【解説編】、以降は【事例編】となります。

 

vol.1  解説編

看護管理者が経営にどうかかわるか

 

福井 トシ子

ふくい・としこ◉国際医療福祉大学大学院副大学院長/教授

2017年から日本看護協会会長を3期6年務め、2023年6月より現職。2024年4月に日本で3校目となるDNPコースを開講する。経営情報学修士、保健医療学博士。

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N.Focus

 

看護職が安心して放射線診療に従事するための

2つのガイドライン

放射線業務従事者の区分および

水晶体の防護手段

 

一般社団法人日本放射線看護学会学術推進委員会

野戸結花、堀田昇吾、太田勝正、小山内暢、佐藤美佳

 

本稿では、放射線診療に従事する看護職が安心して働けるよう、看護管理者が理解しておくべき日本放射線看護学会の2 つのガイドラインを紹介します。

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行動変容をそっと促す ナッジを使ったアプローチ㉑

ナッジとは、人の心理特性に沿って望ましい行動へと促す設計のこと。ゲストスピーカー・医療職のタマゴたちとともに、看護・介護に役立つヒントを示します。

 

対象者を細分化する・相手に聞く

 

竹林 正樹

たけばやし まさき

青森大学 客員教授/行動経済学研究者

 

●●●

 

医療職のタマゴたちが交代でナッジを学びます。

金田 侑大さん

城戸 初音さん

難波 美羅さん

 

 

対象者を細分化して情報を提供する

 

竹林 前回*1、前々回*2と、溝田友里先生(静岡社会健康医学大学院大学)から、ソーシャルマーケティングを組み合わせたがん検診受診や予防行動促進の実践的なお話をうかがいました。難波さんはどう感じましたか?

 

難波 大学でソーシャルマーケティングを学びましたが、正直、具体的なイメージがわきませんでした。でも、溝田先生から「問題の対象を細分化し、ターゲットに合ったアプローチを実施する手法」と教えていただいたおかげで、よくわかりました。

 

竹林 私たちは「誰一人取り残さない」と願うあまり、対象の全員をターゲットにする手法を使いたくなることが多いのです。例えば、がん検診の受診促進に関するチラシをつくるとき、全員をターゲットにしようとすると、「検診のことをよく知らないから受けない」「検診に批判的な意見を持っているから受けない」という人へのメッセージも入れることになりますね。しかし、こういった人たちは実は少数派で、さらにチラシを送られてもあまり読まない人が多いのです。数字で考えてみましょう。難波さんの地域では、がん検診に対して無関心な人は何割くらいいると思いますか?

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折々のはなし㉓

教育現場の立場から角田直枝さん、在宅現場の立場から大槻恭子さん、福祉現場の立場から鳥海房枝さんに、日々考えていること・気になっていること・感じていることなどを述べていただく私的エッセイ。

 

 

大槻 恭子

おおつき きょうこ

一般社団法人ソーシャルデザインリガレッセ 代表理事

 

京都府南丹市出身。子どもの療養をきっかけに兵庫県但馬に移住し、築150年の古民家を購入。現在、その古民家を再生し看護小規模多機能型居宅介護事業所や訪問看護ステーションを運営。

 


 

「いのちのスープ」

 

1枚の写真

 

忘れられない1枚の写真があります。

 

それは、もう20年も前、息子の1歳のお誕生日の写真です。

 

息子は生まれてすぐに全身性の重度アトピーのような状態となり、ミルクはもちろん、母乳でさえアレルギー反応が出てしまいました。検査の結果では、食品そのものに大きな反応は見られず、化学物質などに反応しているのではないか、とのことでした。当時の私は、自分自身、そして息子にとって安心して食べられるものを見つけようと試行錯誤の日々でした。

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医療行政なるほど塾

「全世代型社会保障を目指す改革の道筋」を閣議決定
こども・子育て支援加速化プラン実施に向けた取り組み示す

 

「社会保険旬報」編集部

 

 

政府は昨年12月22日、「全世代型社会保障を目指す改革の道筋(改革工程)」を閣議決定しました。これから生まれてくる「将来世代」を含め、すべての世代にとって安心できる社会保障を構築するため、2040年ごろまでを見すえ、時間軸に沿って実施すべき改革メニューを示しています。改革の道筋は、1.働き方に中立的な社会保障制度等の構築、2.医療・介護制度等の改革、3.「地域共生社会」の実現、の3つの分野ごとに今後の取り組みを記載。それぞれの分野について、①2024年度、②2028年度まで、③2040年ごろの3つの時間軸に沿って実施すべき取り組みを示しています。このうち②の2028年度は、「こども・子育て支援加速化プラン」の実施が完了する時期であり、各年度の予算編成過程において、実施すべき施策の検討・決定を行い、取り組みを着実に進めることとしています。

 

 

 

→続きは本誌で(看護2024年3月号)