トシコとヒロミの往復書簡 第14回

本連載では、聖路加国際大学大学院看護学研究科特任教授の井部俊子さんと、訪問看護パリアン看護部長の川越博美さんが、往復書簡をとおして病院看護と訪問看護のよりよい未来を描きます。さあ、どんな未来が見えてくるのでしょう。

 

川越さんイラスト

川越博美さんから井部俊子さんへの手紙

「今を生きる」に寄り添う看護
文:川越博美

 

「なぜ訪問看護師は制度矛盾に声を上げないのか」という井部さんの疑問に、言葉不足で十分に説明ができていなかったと反省しています。

訪問看護の創設期に、看護師たちが組織のバックもないまま現場から制度について物申してきた働きを忘れないでほしいという思いから、再度補足させていただきます。制度ができたときは、天からのプレゼントのようにうれしく感じました。当初は訪問すればするほど赤字になりましたが、それでも創設されたことに大きな意味があると考えていました。これから制度の中身を変えていけばよいと思ったのです。

訪問看護師たちは、報酬がなくても必要に迫られ行っていたことについて、データを集めて要望書を書きました。24時間対応への加算、ターミナルケア療養費、医療処置の多い人への特別管理加算……。療養通所介護や看護小規模多機能型居宅介護も、制度外のサービスをボランティアで提供していたことが始まりです。その現場も見学しました。ある訪問看護ステーションでは、事務所の一角に難病の利用者を預かり、「今日、この人は泊まっていくの」と説明してくれました。「家族を休ませてあげたいから」と。こうしたことは全国で行われていました。訪問看護師たちの新しいサービスを生み出す力に感動したことは忘れられません。

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地域ケアの今⑭

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

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秋の雑感

今年の夏を振り返って

文:上野まり

 

今年はオリンピック・パラリンピックイヤーでした。気温が高く暑い夏でしたが、早朝にかけて応援でさらに熱くなった人もいたでしょう。4年後の東京オリンピックを視野に入れてか、日本代表選手が準決勝や決勝に進む競技が多く、私も寝不足になるとわかっていてもテレビのスイッチが切れない……という日が続きました。柔道やレスリング、重量挙げ、水泳など、これまでも多くの選手が活躍してきた競技には期待が大きく、金メダルが取れないという贅沢な悔しさを何度も味わいました。

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