トシコとヒロミの往復書簡 第24回〈最終回〉

本連載では、聖路加国際大学大学院看護学研究科特任教授の井部俊子さんと、訪問看護パリアン看護部長の川越博美さんが、往復書簡をとおして病院看護と訪問看護のよりよい未来を描きます。さあ、どんな未来が見えてくるのでしょう。

 

川越さんイラスト

川越博美さんから井部俊子さんへの手紙

看護の本質と与えられた課題
文:川越博美


2年にわたる往復書簡の、井部さんからの最後の手紙を読ませていただきました。長い間、後輩の私にお付き合いくださったことに感謝しています。紙面上で個人的なことも共有し、井部さんのご両親や私の母の死のことも語り合えて本当によかった。年老いた親は自分の老いや死をとおして、看護師である私たち娘に、人生の最期を看ることについて無言で教えてくれていたのですね。

 

本当のことを言うと、2年間の手紙の中で、私とは少し考えが違うなと思うこともありました。でも前回の手紙は、1つひとつうなずきながら読みました。病院・在宅とフィールドを異にしても、看護は同じなのだとあらためて思いました。病院での治療中心の看護と在宅での生活中心の看護を、相対するものとして考えがちですが、そこに流れる看護の本質は変わらないのだと教えられました。2年間で一番、心揺さぶられた手紙でした。
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地域ケアの今(24)

福祉現場をよく知る鳥海房枝さんと、在宅現場をよく知る上野まりさんのお二人が毎月交代で日々の思いを語り、地域での看護のあり方を考えます。

ご存知ですか? AYA世代

文:上野まり

 

先日、新聞で「AYA(アヤ)世代」という言葉を初めて目にしました。その直後、「第22回日本緩和医療学会学術大会」の案内として届いた1枚のポスターと数枚のチラシでもこの言葉に遭遇し、私の頭の中の辞書に定着しました。


AYA世代とは

同学術大会で開催された市民参加セッションのテーマは、「拝啓 若者たちへ AYA世代(15歳〜30代)の“今を生きる”を考えよう」でした。私はAYA世代という言葉に興味がわき、このセッションに参加しました。

SPECIAL BOOK GUIDE 退院した患者の行き先は、自宅・施設だけじゃない!「コミュニティケア」2017年6月臨時増刊号 『新たな制度を生み出すコンセプト「まるごとケアの家」の展開』が刊行

病院を退院した患者は「どこへ」行くのでしょうか? 転院、特別養護老人ホームなどの介護保険サービスの施設、そして自宅が、まず思い浮かぶと思います。しかし、今、地域では新たな“場”への取り組みが始まっています。それが「まるごとケアの家」——そこは制度にとらわれず、どんな人でも受け入れてケアをする場です。患者・家族を看護職・介護職だけでなく、地元の人も加えた緩いつながりで“まるごと”受け入れてケアをする家なのです。
訪問看護師や高齢者施設のナースのための専門誌「コミュニティケア」の2017年6月臨時増刊号では、「まるごとケアの家」について詳しく紹介しています。

 

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SPECIAL INTERVIEW「思考力を伸ばす」とは すべての看護師に伝えたいこと

 

阿部 幸恵さん
東京医科大学医学部看護学科/
大学病院シミュレーションセンター 教授
防衛医科大学高等看護学院卒業。循環器、救命救急、高齢者施設、保育園で臨床を経験。1997年からの9年間は大学および大学院に在籍し、小学校教員免許、児童学博士を取得。2006年以降、全医療者・医療系学生対象のシミュレーション教育に携わる。2011年琉球大学医学部附属病院地域医療教育開発講座准教授、2012年同講座教授およびおきなわクリニカルシミュレーションセンター副センター長、2014年東京医科大学病院シミュレーションセンターセンター長を経て、2017年より現職。

これからの臨床には“自分の頭で考え実践できる”看護師が必要との思いから、『新人・学生の思考力を伸ばす指導』を上梓した阿部幸恵さんに、教育/指導に関する現状の課題や、看護師の思考・行為を言語化する重要性についてうかがいました。