学問としての教養、そしてリベラルアーツ

 

文部科学省中央教育審議会の答申「新しい時代における教養教育の在り方について」に、教養とは「個人が社会とかかわり、経験を積み、体系的な知識や知恵を獲得する過程で身に付ける、ものの見方、考え方、価値観の総体」とあります。

 

また「リベラルアーツ」とは、古代ギリシャ・ローマ時代の古典的な学問体系を指す言葉で、西洋社会の大学教育の歴史の中で長く受け継がれてきました。現代的なリベラルアーツは、豊かな教養を足場に自身の専門分野に取り組みながら、自由な精神で創造性と実践力を発揮するための学びであると言えます。

 

教養やリベラルアーツ教育を掲げる大学や学部は日本にも数多くありますが、2005年に発足した「大阪大学コミュニケーションデザイン・センター」(CSCD:Center for the Study of Communication-Design)は、設立者の鷲田清一氏らによる「臨床哲学」の理念に基づくユニークなアプローチを行う高度教養教育機関です。

 

この座談会では、初代センター長の中岡成文さん(哲学)と現センター長の池田光穂さん(文化人類学)、そして2011年まで5年間そこに在籍した西村ユミさん(看護学)に、専門の異なる者同士がぶつかり合うリベラルアーツの「実践場」としてのCSCDについて語っていただきました。

[1] 考える力とかかわる力

「人がわかったらどうなるんだろう? 確かにわかったら嬉しい。嬉しいけど、それが看護にとってどう重要なの?」── 池田

[2]衝突と行き違いから始まるコミュニケーション

「コンフリクト(=争い、衝突、葛藤、対立)はないほうがいいと思うでしょ。でもそれがむしろ生産的なものにつながり得る」── 中岡

[3]分野を超えるのはしんどい

「植物状態の患者さんを“能面みたいだ”と言う人がいたから、国立能楽堂の地下書庫で『風姿花伝』を読んでいた時期もありました」── 西村

[4]枠からはみ出す

「一つ、突っ込みたいんですが、金魚が患者さんだったら、その水槽の中にナースも入れてほしいですね」── 西村

座談会:考えることの自由 大阪大学コミュニケーションデザイン・センター [前 編]

教養と看護編集部のページ日本看護協会出版会

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